「導入時はあれだけ熱心だったのに、いざトラブルが起きたら連絡がつかない」。中小企業のIT現場でしばしば耳にする声です。相性の問題に見えて、実際には会社の成り立ちや契約の形に原因があることもあります。導入前に見るべきなのは、価格や機能だけではありません。
「設定変更を頼んだら担当者が変わっていて、話が通じなかった」「導入してくれた会社にメールしても、何日経っても返事がない」──中小企業のIT担当者から、こうしたエピソードを少なからず耳にします。導入の瞬間がベンダーにとっての一区切りで、その後の運用が宙に浮いてしまうケースは、業界の構造として存在しています。
なぜ「逃げてしまうベンダー」が生まれるのか。背景には、会社の開発体制、契約主体、現場対応の文化があります。導入前に確認しておくと、トラブル時の動き方をある程度見通せます。
ソフトウェア業の倒産は、過去10年で最多に
東京商工リサーチの集計では、2024年のソフトウェア業の倒産件数は220件と、過去10年間で最多を記録しています。倒産企業の大半は資本金・従業員ともに小規模で、中小規模のSES(System Engineering Service)企業の経営難が背景にあります。利用者側から見ると、「導入してくれた会社が、ある日連絡できなくなる」というリスクが現実化しているということです。
加えて、日本のITプロジェクトに根強い多重下請け構造も問題を複雑にしています。元請けが受注し、二次請け・三次請けへと案件が降りていく過程で、契約上の責任を負う会社と、実装や保守を実際に行う会社が異なります。トラブル時に「うちは契約外」「上の会社に聞いてください」というたらい回しが起きやすい構図です。
視点 1:自社で開発し、自社で売っているか
最初に確認したいのは、提案している会社が自社で開発した製品を提供しているのか、それとも他社製品の卸売や仕入販売を中心としているのかという点です。
自社開発・自社販売の会社では、不具合の修正も、機能改善の要望も、開発側に直接フィードバックが届きます。一方、卸売中心の会社は、利用者の声を上流に伝える経路が長く、対応に時間がかかったり、上流側の都合で動かなかったりすることがあります。ITreviewによる中小企業向けの整理でも、「ベンダー系の事業者は製品に関する深い知識を持ち、導入後のサポートも手厚い傾向がある」とまとめられています。
視点 2:契約主体と、実装主体が同じ会社か
二つ目の観点が、契約上の窓口と、実際に手を動かす技術者が同じ会社の中にいるかです。多重下請けが介在していると、トラブルが起きたとき「契約上の窓口」と「実装した技術者」が別会社で、両者の間で言葉が通じないまま時間が過ぎてしまいます。
提案を受ける場で、「導入後、私たちと直接やり取りするのはどの会社の誰になりますか」と尋ねておくと、後の責任の所在が明確になります。元請けの担当者は窓口だけで、技術者は別の下請け会社にいる構造であれば、障害時の初動速度や品質に直結します。
視点 3:守備範囲の「外」でも拾ってくれるか
技術契約は厳密に定めても、現場で起きるトラブルは契約書の境界をしばしば越えます。「電話の問題と言われたけど、調べてみたらネットワーク機器の故障だった」「サーバー復旧したけど、その後の業務再開支援はうちの仕事ではない」と切られると、利用者側は次のベンダーを呼ぶ調整に追われます。
「やり切る」と感じられるベンダーは、自社の守備範囲が終わったあとも、お客様の業務が回るところまで一歩踏み込んで動く文化を持つ傾向があります。製造業の生産ライン、医療機関の電子カルテ、自治体の住民窓口、弁護士事務所の依頼者対応など、止められない業務を抱える事業者ほど、この差は経営判断に直結します。
価格表には出ない、運用時の差を見る
「やり切るかどうか」は属人的な相性に見えて、実際には会社の構造から読み取れる部分が大きい領域です。自社開発か卸売か、契約と実装が同じ会社か、守備範囲の外でも動く文化があるか。価格表に出ないこの部分が、障害時の初動と復旧までの距離を左右します。
フォースネット株式会社は、自社で開発したネットワーク機器・通信サービス・AI基盤を、自社の技術者が直接支援する形で提供してきました。設立から15年以上で500社以上の導入実績があり、契約上の線引きだけでなく、業務が戻るところまで見て動く体制を重視しています。
参考資料
- BAMV MAGAZINE「IT業界って、今もまだ多重請負構造なの?」
- エス転「SES企業が潰れる原因や倒産リスク」(2024年ソフトウェア業倒産220件)
- ITreview「IT導入支援事業者のおすすめ製品比較」