社内ネットワークの構築にいくらかかるかは、調べてもはっきりした金額が見つかりにくい問いです。オフィスの広さ、利用する人数、拠点の数、配線工事の有無、セキュリティ機器の種類、導入後の保守の範囲によって、同じ「社内ネットワーク構築」でも見積の桁が変わるためです。ここでは、公的な調査で分かる数字とその読み方、費用の内訳、金額を動かす条件、見積の比べ方を順に整理します。

社内ネットワーク構築の費用に、決まった相場はある?

ネットワーク構築だけに絞った費用を公的機関が集計した統計は、2026年10月時点で見当たりません。近い数字として、日本政策金融公庫総合研究所の「デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査」(2025年3月実施、回答1,620社、2025年5月21日公表)があります。

  • 2024年度にデジタル化を進めるために投じた金額は、平均586.5万円、中央値130万円
  • 最も多かった金額帯は「100万円以上1,000万円未満」で48.7%
  • 従業員の規模が大きいほど、投じた金額の平均値・中央値も大きい

この金額には、デジタルツールの導入費用、システムの保守・運用費用、専門人材の獲得費用、従業員の教育費用などが含まれます。ネットワーク構築の費用そのものではなく、ネットワークはその一部です。平均が中央値の4倍以上あるのは、一部の企業の大きな投資が平均を押し上げているためです。中央値の130万円は、回答した企業の半数がそれ以下だったことを示します。

社内ネットワークの見積が会社ごとに大きく違うのは、次に挙げる費目と条件の組み合わせで金額が決まるためです。

社内ネットワーク構築の費用は、何に分かれる?

見積は主に次の4つの費目で構成されます。インターネット接続や拠点間の通信回線の月額料金は、通信事業者との別契約になることが多く、構築の見積とは分けて考えます。

  • 工事費:LANケーブルの配線、ラックの設置、アクセスポイントの取り付けなど、現地での施工
  • 機器費:スイッチ、ルーター、無線LANのアクセスポイント、UTM・ファイアウォールなど。セキュリティ機器には、本体とは別に年単位のライセンス費用がかかるものがあります
  • 初期構築費:要件の整理、設計、機器の設定、試験、今の環境からの切り替え
  • 月額保守費:稼働後の問い合わせの受付、障害の切り分け、リモートでの対応、現地への訪問

一度だけかかる費用(工事費・機器費・初期構築費)と、毎月・毎年かかる費用(保守費・ライセンス・回線)を分けて並べると、5年使ったときの総額で比べられます。

社内ネットワーク構築の金額を大きく動かす条件は?

同じ人数のオフィスでも、次の条件で金額が変わります。

  • 利用する人数と端末の数:スイッチのポート数、アクセスポイントの台数、UTMに求める処理性能が決まります
  • フロアと拠点の数:フロアごとの機器と配線、拠点どうしをつなぐVPNの構成が増えます
  • 配線工事の範囲:今の配線を使えるか、天井や床の工事が要るか、ビルが指定する業者の工事になるか
  • 無線LANを使う範囲:使う場所の広さや壁・棚の配置によって、現地調査と電波の設計が必要になります
  • 今の機器を使い続けるか:使い続ければ機器費は下がりますが、メーカーのサポート期限と、新しい機器との組み合わせを確かめる必要があります
  • 切り替えの時間帯:業務を止められない場合は、夜間・休日の作業や、新旧を並行して動かす期間が加わります
  • 保守の範囲:受付の時間帯、リモートだけか訪問まで含むか、機器の交換を含むか

ネットワーク構築の見積を複数取ったとき、どこを比べればいい?

合計金額だけを比べると、含まれている作業の違いを見落とします。次の点をそろえてから比べると、金額の差がどこから来ているかが分かります。

  • 設計・試験・切り替えの作業が見積に含まれているか、別料金か
  • 機器のライセンスとメーカー保守が、何年分含まれているか
  • 構成図や設定内容の資料が、納品物に含まれるか
  • 稼働後の問い合わせ先と、保守で対応する範囲・時間帯
  • 現地への訪問が必要になったときの費用の決まり方

構築と保守を別の会社に頼むこともできます。その場合は、障害が起きたときにどちらがどこまで調べるかを契約の段階で決めておくと、原因の切り分けで止まりにくくなります。

見積の前に整理しておく情報

社内ネットワークの構築や見直しについて相談する際は、分かる範囲で次の情報を共有いただくと、構成と見積の前提をそろえやすくなります。

  • 利用する人数と、PC・電話機・複合機など、つなぐ機器のおおよその数
  • オフィスの広さ、フロアの数、拠点の数
  • 今の構成(機器の型番、構成図が残っているか)と、困っていること
  • 無線LANを使う場所と、現地調査ができる日程
  • 必要なセキュリティ対策(UTM・ファイアウォール、拠点間やテレワークのVPN)
  • 切り替えたい時期と、作業できる曜日・時間帯
  • 導入後の保守に求める範囲(受付時間、訪問の要否)

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人数や拠点の数など、分かる範囲の条件から構成を整理し、見積の前提をそろえます。ご依頼は、構築と導入後の月額保守を組み合わせる形が基本です。

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