総務省の電気通信事故検証会議が、令和7年度電気通信事故に関する検証報告を2026年7月17日の報道資料として公表しました。重大な事故として整理されたものは6件です。一方、重大事故を含め、詳細な様式で集計された事故等は7,941件あります。件数の分布は、通信がどの規模で、どのくらいの時間止まっているかを示しています。

この記事の要点

  • 令和7年度に電気通信事業報告規則第7条の3に基づき詳細な様式で報告された事故は7,941件で、前年度の6,713件から1,228件増えた。
  • その7,941件のうち、影響利用者数が500人未満のものが7,515件(約94.6%)を占め、収束まで12時間以上かかったものが2,454件(約30.9%)ある。
  • 発生要因は、報告した電気通信事業者から見て自社以外の外的要因が4,715件(約59%)で、その約9割は他の電気通信事業者の事故によるもの。

重大事故6件を含む、詳細な様式の報告は7,941件

この検証報告は、電気通信事業者から総務省へ報告された事故を、電気通信事故検証会議が再発防止の観点から検証してまとめたものです。報告書の冒頭には、本会議による検証は事故の責任を問うために行うものではない、と付記されています。

報告書の表1によれば、令和7年度に発生した電気通信事業法施行規則第58条第2項に定める重大な事故は6件で、前年度の6件と同数でした。同施行規則第58条の2に定める、重大な事故が生ずるおそれがあると認められる事態は0件で、前年度の5件から5件減っています。

一方、電気通信事業報告規則第7条の3に定める事故等のうち、詳細な様式による報告は143社から7,941件ありました。前年度は130社から6,713件だったので、1,228件の増加です。これとは別に、無線基地局などの故障について簡易な様式による報告が26社から72,185件あり、報告書は、事故の規模別・要因別の分析においてこの簡易な様式の件数を含めないと明記しています。

報告書の脚注は、電気通信事業報告規則第7条の3に定める事故を、電気通信設備の故障により役務の提供を停止または品質を低下させた事故で影響利用者数3万以上または継続時間2時間以上のもの、および電気通信設備以外の設備の故障により役務の提供に支障を来した事故で同じ規模のもの、と定義しています。あわせて報告書は、この件数に施行規則第58条第2項に定める事故と、第58条の2に定める事態の一部を含めて計上しているとも注記しています。

500人未満が9割超、12時間以上が約3割

7,941件を影響利用者数で分けると、500人未満の事故が7,515件で、総件数の約94.6%を占めます。前年度からは1,183件増え、割合も0.3ポイント上がりました。逆に影響利用者数が3万人以上の事故は51件で、総件数の約0.7%です。前年度から6件減り、割合は0.2ポイント下がっています。

継続時間で分けると、最も多いのは2時間以上5時間未満の3,666件で、総件数の約46.2%を占めます。収束まで12時間以上かかった事故は2,454件あり、総件数の約30.9%です。報告書は、この分布が直近5年間と同様の傾向であるとしています。

影響利用者数と継続時間は、報告書では別々の集計軸です。影響利用者数では500人未満が9割を超え、継続時間では2時間以上5時間未満が約46.2%、12時間以上が約30.9%を占める、という並びになります。

規模

影響利用者数500人未満が7,515件で約94.6%。3万人以上は51件で約0.7%。

継続時間

2時間以上5時間未満が3,666件で約46.2%。12時間以上が2,454件で約30.9%。

要因

外的要因が4,715件で約59%。うち他の電気通信事業者の事故によるものが4,236件。

故障設備では、加入者系ケーブルと加入者収容装置が多い

サービス別の集計は、1件の事故が複数のサービスに影響する場合があるため、サービス区分ごとの合計が総件数の7,941件を上回ります。サービス区分別の延べ件数に占める割合では、データ通信サービスが9,819件で71%と最も多く、内訳はインターネット接続サービス(固定)が4,217件で43%、固定アクセスサービスが2,190件で22%、移動アクセスサービスが1,777件で18%です。音声サービスは2,638件で19%を占め、その内訳はIP電話が1,256件で48%、携帯電話が985件で37%、アナログ電話が192件で7%となっています。

故障設備別では、故障設備が明確な4,762件が分母になります。伝送路設備に起因する事故が2,213件で46%、そのうち加入者系ケーブルが1,193件で54%、中継ケーブルが243件で11%を占め、報告書はケーブル支障による事故が伝送路設備の故障の約7割になるとしています。伝送交換設備に起因する事故は1,914件で40%、そのうち加入者収容装置が1,385件で72%を占めます。レイヤ3スイッチ・ルータは163件で9%、網終端装置は93件で5%、レイヤ2スイッチは77件で4%です。

故障設備が明確な事故では、加入者系ケーブルと加入者収容装置が、それぞれの設備区分の中で最も大きな割合を占めています。なお報告書は、卸役務に関する事故について卸提供元事業者と卸提供先事業者を個別に計上するとしており、報告件数は物理的な事故地点の数と一致するとは限りません。

要因の約6割は、報告した事業者から見て自社の外にある

発生要因別に見ると、自社以外の要因である外的要因が4,715件で59%と最も多く、前年度から819件増えています。そのうち他の電気通信事業者の事故によるものが4,236件で、外的要因の90%を占めます。次いで自然故障などの設備要因が2,768件で35%、そのうち機器故障が2,601件で設備要因の94%です。

ここでの自社とは、報告を出した電気通信事業者のことです。報告書が集計しているのは主たる発生要因であり、報告した事業者から見て主たる発生要因が自社の外にあった件数が最も多い、という読み方になります。

なお、6件の重大な事故の内訳は、設備要因が2件、人為要因が3件、外的要因が1件です。件数の分布と、規模の大きい事故の要因は一致していません。

報告書の教訓は事業者向けであり、分布は利用側からも読める

報告書の第2章は、令和7年度の事故から得られた教訓を、事故の事前防止と事故発生時に分けて整理しています。企画・設計プロセスにおける関係部署間の連携体制の整備、冗長構成の確保、警報を出力しない故障、いわゆるサイレント故障の検知、障害発生時の対応手順の整備、適時適切な利用者周知などが並びます。いずれも電気通信事業者自身の取組を対象にした内容で、報告書も、事業者において自社の取組に反映していくことを期待したい、と書いています。

利用する側の企業が直接読み取れるのは、教訓よりも分布のほうです。7,941件という件数と、影響利用者数500人未満が9割超、継続時間12時間以上が約3割という分布は、報告対象になる規模の通信の停止が、年に数件の重大な事故だけではないことを示しています。また、6件の重大な事故のうち1件は音声サービス(アナログ電話)および音声サービス(IP電話)の事故として計上されており、1件の事故が複数のサービスに同時に及ぶことがある点も、報告書の注記と表から確認できます。

ここから先は、報告書が扱っていない利用企業側の検討になります。回線経路の分離、電話基盤の冗長化、通信断を検知する監視手段は、この分布を前提条件に置いたとき、それぞれ別の設計項目になります。フォースネットでは、回線・ネットワークとIP-PBXIT監視を横断して構成を確認しています。一人情シス・ゼロ情シスでもできる、社内ネットワーク監視の3つの視点中小企業のIP電話、いま見落とされがちな3つの判断軸で扱った論点も、この前提の上に乗っています。

出典

総務省 電気通信事故検証会議「令和7年度電気通信事故に関する検証報告」(2026年7月17日 報道資料)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001082649.pdf
掲載元: 総務省「電気通信サービスの事故の発生状況」https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/net_anzen/jiko/result.html

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